東洋医学のベース、気血津液

東洋医学のベース、気血津液

気血津液

東洋医学を考える上でベースになるのが、気血津液
東洋医学では、体にはこの気血津液が流れていると考えられています。
気は、元気
血は、その字の通り、血液
津液は、体水分
これらの気血津液が、過不足なく、滞りなく流れている状態が、健康な状態。
もし、気血津液のいずれかが不足したり、滞っていたりすると、体に不調が現れてきます。
気、血、津液は、それぞれ違うものですが、いずれか一つが不調を起こすと、他のものも影響を受けて、同じように不足したり滞ったりしやすくなります。

それぞれ、もう少し詳しくみていきましょう。



 

 

気とは、元気そのもの。
体に気が流れていると言われても、なんだか幻想的すぎて、ピンとこない方も多いはず…。
私も始め、そうでした。
百歩譲って、血と津液は体内に存在するものだけれど、気だけは抽象的すぎる…。
でも、15年鍼灸師をやってきて、何よりも『気』が重要だな。と思うようになりました。
例えば、ベタな話をすると、『病は気から』という言葉があります。
これは間違い無いですね。
私は自分のサロンを立ち上げて10年になりますが、独立してからは1度も熱を出して寝込んだことはありません。
逆に雇われだったときは、熱を出したり、インフルエンザに罹ったりしていました(稀ではありましたが)。
やはり、気が張っていたら風邪にもかかりにくくなるのでしょうね。
逆に、気を許してしまうと風邪にかかりやすくなる。たとえば、長期休みに入ると風邪を引くとか…。
実際そうなったことは稀なのですが、そんな可能性を想像できるので、いつも休みに入るときには、急に気を緩めないようにしています。
ちなみに風邪は、東洋医学では『フウジャ』と読みます。
風のようにフワリとやってくる邪気、という意味なのでしょうか。
これはまた、気血津液が原因の症状とことなるものなので、また今度お話しします。

少し脱線しましたが、気の話。
気は、大きく分けると4種類にわけることができます。

まずは、営気(えいき)。
食べ物を食べることで得られる、栄養のエネルギーです。


そして、元気
元気は、生命エネルギーといったらイメージがつきやすいでしょうか。
生まれながらに備わっているエネルギーを、食べ物など(営気)で補いながら養っていくのが元気です。

それから、衛気(えいき)。
これは、免疫といえばイメージがつきやすいでしょうか。
先ほどお話しした、風邪(ふうじゃ)が簡単に体に入ってこないように守っているのが衛気のはたらきです。
衛気も同じく、生まれながらに備わっている気を、食べ物など(営気)で補っていきます。

さいごに、宗気(そうき)。
これは、酸素と考えていいでしょう。
呼吸することで得る気ですが、単純に酸素というよりは、ヨガでいう呼吸法などの『呼吸すること』のイメージの方が強いのでは、と個人的に理解しています。


日頃、『元気』という言葉ばかり使っていますが、実は気も、細かくジャンル分けをすると、このようになります。
そして、いずれも相関しています。
やはり、元気が一番重要な気ではありますが、それを支える他の気たち。
それぞれの役割をみると、納得するものがありませんか?
私のなかで、マイナーな宗気は、かなり重要な役割を果たしていると思います。
例えれば、小指のような。
小指って、あんまり役割が無いように思いますが、実は握ったりするときに非常に重要な役割を果たしています。
私は、宗気はそのような存在だと思っています。
もちろん、私たちが生きていくには酸素が必要ですが、酸素以前に『呼吸をすること』の行為が、非常に重要と考えています。
疲れたり、エネルギー不足を感じるときには、私たちは栄養をたくさん取ることばかりを考えてしまいがちです。
気の話でいうと、営気を補って元気や衛気を養うということ。
確かに美味しいものを食べれば元気がでますが、宗気が足りません。
たとえば、休暇でハイキングに行って、森林浴をしたら元気がでた!なんていう経験はないでしょうか?
私は、これを『宗気が養えられた』と考えています。
運動をした後のご飯が美味しく感じるのも、4つの気を考えると納得です。
デスクワークが増えた現代、集中しすぎると呼吸をすることを忘れていたりします。
よって、現代人は運動などをして心拍数をあげたり、ヨガなどで呼吸法を意識しない限り、しっかり呼吸ができていないように思います。
実際に宗気は、飲食物から補った営気や血を全身にくまなく流す役割もあります。
栄養だけでは元気を養えない理由が、ここにありますね。

 

 

 

 

血とは、血液
読んで字の如くなので、イメージがつきやすいかもしれませんが、一般的にいう血液とは少し異なる働きがあるのが、東洋医学の血です。
東洋医学では、全身に栄養を運んで養うだけではなく、精神活動にも関わります。
血が不足すると、不眠や物忘れ、不安などの精神的な症状が現れます。
また、目の疲れやドライアイ、髪の毛や爪の健康にも影響が。

血の量だけではなく、血の流れも重要。
みなさん、よく『血の流れが悪い』と、血流の悪さを気にされる方が多いです。
その反面、気にしていても残念ながら、改善のための行動をとっている人は少ないように思います。
実際に女性は、男性と比較して血流が悪くなりやすい体の作りになっています。
(筋肉量や血管の作りなどにより)
また、ストレスがかかると、それだけでも悪化するのが血流。
血流の悪い方は、鍼をするとわかりやすく内出血する確率が高いです。
また、血色が悪かったり、足を中心に細絡という、もやもやとした細い血管が現れていたりします。
血流の悪い方の多くは、肝斑やシミがでやすい傾向にもあるような気がしています。

改善のための行動、と先に書きましたが、薬膳などで血流を促す食材もありますが、やはり有酸素運動に勝るものはないと思います。
血の流れを司る五臓の肺と心をダイレクトに使うので、スポーツ中に血流がよくなるだけではなく、心肺も強くなるので普段から血流がよい状態が続きます。
血と気の流れは比例するので、塞がった気も解消することができます。
これまでの経験上、やはり有酸素運動を定期的にされている方は内出血が出にくく、肝斑も少ないように思います。
一般的に、内出血の確率は高齢になればなるほど出やすいですが、毎日有酸素運動をしている高齢のお客さまは、これまで一度も内出血が出たことがありません。
このようなケースからも、血と有酸素運動の関連性は非常に高いものだと感じています。
(ちなみに、私も定期的にジョギングと美容鍼灸を自らしていますが、ここ十数年、内出血ができた記憶はありません)



 

 

津液

津液は、体液をさします。
体に存在する全ての水分…汗、涙、尿はもちろん、胃液などの臓器の分泌液も含みます。
津液も、気や血のように代謝されるものです。
口から摂取して、体を巡り、汗や尿として排泄されます。
面白いことに、この津液の流れは、肺が押し流していると考えられています。
肺が活発であれば、津液の巡りもよくなり、汗として排出されていく…ここでも有酸素運動がいかに効果的かがわかりますね。

では、反対に津液の流れが悪くなると、どうなるのでしょう。
これは、わかりやすく浮腫としてあらわれます。
東洋医学では、津液が長期間滞ると、という粘着質のある水分に変化するといわれています。(喉にひっかかる痰も含まれますが、東洋医学ではそれだけではありません)
私は、この痰はセルライトや脂肪を指していると認識しています。
水分が滞留しているだけだと排出をするのは簡単ですが、ひとたび痰の状態になると、排出をするのが非常に難しくなります。

また、甘いものは湿(水分)を引き寄せる性質があります。
浮腫みやすい人は、甘いものが好きな人が多いように思います。
糖質は即エネルギーになる優秀な栄養素ですが、未消化のエネルギーは脂肪として蓄積されます。
これもまた、津液〜痰になる過程のイメージとぴったりです。

ちなみに、水分代謝がうまくできていない人、甘いものを食べ過ぎている人は、湿疹ができやすい傾向にあります。
字の如く、捌ききれない湿が皮膚に出てくることで起こる症状が湿疹です。
むくみやすくて、甘いものが好きで、湿疹に悩んでいる方は、肺を使う有酸素運動をして汗をかくことを心がけてみてください。

 

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